バイツァ・ダスト

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コーチング・クリニックのすすめ(2020年3月号)前編

ども、手のケガ治ってきてとってもハッピーなやーくんです!

 

今回も自分が読んでいる『コーチング・クリニック』という雑誌を軽く紹介していきますね。この雑誌は、国家資格を持っている自分から見ても、とても勉強になります。特にスポーツの現場などで活躍してる人などは一度読んでみてください!

1⃣柔道日本代表チームが導入したチームビルディングプログラム

坂本照裕 筑波大学体育系 教授

 

▢チームビルディングとは?

 チームビルディングとは、スポーツに限らず仕事などでも用いられる。チームビルディングを日本語に訳すとチームを作る(構築する)という意味になる。つまり、チームビルディングとは、メンバー一人一人が主体的になりそれぞれが経験、個性、能力を発揮することで共通のゴールを目指すことだ。

 こう聞くと、スポーツでは団体競技を想像する方が多いかもしれんない。しかし、個人競技においても、チームとして行動す場面は多くあり団結力が欠かせない。これまでに、サッカー、柔道、ハンドボールラグビー、水泳、水球、アーティスティックスイミングなどで、研修を行ってきた。

 

▢プログラム導入のきっかけ

 プログラム導入のきっかけは史上初の男女混合団体戦だ。日本代表では、男女一緒に練習することはほとんどなかった。今回のチームビルディング導入の目的は、選手、監督、コーチ、スタッフのチーム力向上とともに、男女のコミュニケーションを円滑にすることを目的とした。

 

▢エレメントとは?

 筑波大学野外運動研究室では、プロぎラムで用いる種目を『エレメント』と呼んでいる。エレメントには、コミュニケーションを活発にさせるもの、個人が勇気を出して挑戦しなければいけないもの、献身性が必要なものなど、それぞれ特性がある。そのエレメントはあらかじめ複数用意しているものの中から、特徴や難易度を考慮しつつ、体験者の様子を見ながら、目的に応じて導入するエレメントを決めていく。

 柔道日本代表チームの場合は男女混合で実施する必要がある。そのため、力や体力の差で優劣がつきにくく、男女一緒になって参加することを考慮して、プログラムを作成した。

 

▢日本代表チームが実施したエレメント

 プログラムを実施す際は、参加者同士or参加者同士とファシリテートを務めるスタッフが打ち解けるため『アイスブレーク』を実施する必要がある。アイスブレークでは、難易度が低く、軽い身体的接触があるレクリエーションゲームを行う。アイスブレークを終えた後は、難易度が低いエレメントから行い、徐々に難易度を上げていきながら、身体的接触を増やしていく。

アイスブレーク】 以下↓ウィキペディアより引用

初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法。集まった人を和ませ、コミュニケーションをとりやすい雰囲気を作り、そこに集まった目的の達成に積極的に関わってもらえるよう働きかける技術を指す。 

  ここでのアイスブレークは、『心の安全』を確保することと、後に行うエレメントの効果を高めることが目的だ。「失敗しても、笑って受け入れてくれるんだ」という雰囲気を作ることが重要だ。

 

・じゃんけんゲーム

 ファシリテーターが親となり参加者とじゃんけんをする。3回連続で勝った人がどこかに移動するなど行う。たかがじゃんけんだが、その場が和やかなムードになる。狙いは参加者同士の距離を縮めることだ。

 

・前後左右ゲーム

 全員で手をつないで、ファシリテーターの指示どうりに動くゲームだ。ファシリテーターが「前」と言ったら、参加者も「前」と言いながら両足をそろえて一斉に前方へジャンプする。同様に「後ろ」「左」「右」という掛け声でも同じように動く。

 それができたら次に、ファシリテーターが「前」と言ったら、「後ろ」と言いながら「後ろ」へジャンプする。ファシリテーターが「右」と言ったら、「左」と言いながら「左」へジャンプする。このように、ファシリテーターが言った方向と逆の方向を言って、その方向へジャンプするなど複雑性を段階的に増していく。

 

▢エレメント導入の注意点

 プログラムを行えば必ずしもプラスになるとは限らない。なかなかエレメントを達成できずに葛藤を経験するグループや、意思疎通ができず不満を表すこともある(特に子供に多い)。このような場合は『シェアリング(振り返り)』の時間を取り、しっかり話し合うことが重要だ。自分の意見を表明することもまた、個人やチームの成長につながるからだ。

 1つ1つのエレメント終了後には必ず、エレメントを体験してどのようなことを感じ、考えたのかを表明し合う『シェアリング』の時間を設ける必要がある。互いに感想を語り合うことで、「こんなことを考えていたのか」と理解し合えるようになり、さらなる結束力の向上を狙うことができる。このように、参加者の関係性を深めるためにも体験後のシェアリングは重要である。

 

ファシリテーターの役割り

 プログラム最中に、ファシリテーターが介入することはほとんどない。ファシリテーターの役割は『見守ること』で、仮に上手くいっていない部分があっても参加者が自分たちで解決することが重要になってくる。ときには、体験後のシェアリングの際に、上手にそれぞれの考えを取り上げることで問題解決を促すこともある。また、エレメント中のケガやグループワーク中にネガティブな言葉をかけれるなど、エレメントの際は、『身体の安全』と『心の安全』を確保することもファシリテーターの役割の一つだ。そして、第三者ファシリテーターを務めることで、監督やコーチが選手と一緒にエレメントに参加することで、心理的距離が近くなるなどの効果も期待できる。

 

次回は後編で、ではまた✊